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デジタルツインとは? Matterport・3DGSどちらで作るか——「誰が何に使うか」で決める

デジタルツインをMatterportと3DGSどちらで作るか——工務店・建材メーカー・現場担当者それぞれの判断基準
2026年8月31日 by

デジタルツインとは——現実の空間をそのままデータ化する技術

デジタルツインとは、現実に存在する建物・空間を3Dデータとして丸ごと複製し、実物と同じようにブラウザ上で確認・活用できるようにする技術です。工場設備やインフラ分野で使われてきた考え方ですが、近年は建設・不動産分野でも「竣工物件をそのままデータ化して、営業・記録・広告に使い回す」用途で急速に広がっています。

建設・不動産分野でデジタルツインを作る手段は、現時点で大きく2つに絞られます。Matterport(専用3Dカメラによる寸法計測込みのスキャン)と、3DGS(3D Gaussian Splatting・写真や動画からAIが空間を再構成する技術)です。本記事はこの2つを、技術的な優劣ではなく「あなたは誰で、何のために空間をデータ化したいのか」から逆算して選ぶための記事です。

当メディアでは、両者の技術的な仕組みと機能をこれまで項目ごとに比較してきました。

機能表を見比べても決められなかった方は、このまま読み進めてください。


デジタルツインは何で作るか——Matterport と 3DGS は目的が違う

3DGS(3D Gaussian Splatting)は、写真や動画からフォトリアルな3D空間を自動生成するAI技術です。撮影は専用機材の一眼カメラやスマホで行い、生成した空間データは自社で保有できます。学習に使うAIエンジンにはBrush、生成された空間をブラウザで表示するビューアにはSparkが使われます(「エンジン開発」はBrush側の学習処理を指し、閲覧体験の話とは別軸です)。

Matterportは、専用3Dカメラで撮影し、寸法計測・間取り図生成・商品タグ付けまでを一体で提供する完成度の高いプラットフォームです。

技術的な違いの詳細は上記2記事に譲り、ここでは「誰がこの違いをどう活かせるか」だけに絞ります。


用途別の判断基準——5つの立場で考える

立場・目的 推奨 理由
竣工物件を営業道具として長く使い続けたい工務店の営業担当 Matterport 寸法計測・間取り図が標準搭載。引き渡し後も「実務で使える資料」として機能する
ショールームをブランド体験として24時間公開したい建材メーカーのマーケ担当 3DGS Sparkビューアの没入感が高く、サブスク不要で自社サイトに埋め込める
SNS・広告用に短期間で"映える"素材を作りたい担当者 3DGS スマホ撮影から着手でき、機材調達を待たずに動ける
確認申請・引き渡し記録など記録性・正確性が必要な設計担当・現場監督 Matterport 寸法の正確性と標準化されたフォーマットが監査・証跡として使える
予算が限られる小規模事業者・個人事業主 3DGS 専用機材への初期投資が不要。Brushでの生成コストのみで始められる

共通する判断軸はひとつです。 「その3D空間を、公開して終わりにするか」「実務データとして使い続けるか」。前者ならSparkビューアの体験の強さを取れる3DGS、後者なら寸法・図面という実務機能を持つMatterportが有利です。


ケース1: 工務店の営業担当——Matterportを選ぶべき理由

竣工物件のバーチャルモデルハウス化を検討する工務店にとって、3D空間は「見せる」だけの道具ではありません。引き渡し後も次の施主への提案資料として使い続けることが前提になります。

このとき効くのが、Matterportが標準搭載する寸法計測と間取り図の自動生成です。商談の場で「このリビングは何畳あるか」「隣の部屋との位置関係はどうか」を、その場で正確に示せる。3DGSはフォトリアルな空間体験には優れますが、この実務的な正確性は現時点では自前実装が必要になります。

「見せる」だけでなく「使い続ける」なら、Matterportです。


ケース2: 建材メーカーのマーケ担当——3DGSを選ぶべき理由

自社ショールームをWeb上で24時間公開したい。目的が「ブランド体験を届けること」であれば、話は変わります。

3DGSはガラスの質感や植栽の細部までフォトリアルに再現し、Sparkビューアでの自由な移動体験は没入感が高い。月額サブスクリプションが不要なため、公開して終わりの「作り切り」運用にコスト構造が合います。

ただし、ガラス面・鏡面の再現はまだ弱点があり、ショールームには鏡や大判ガラスが多用される点は撮影計画の段階で考慮が必要です。

「体験として見せる」ことが目的なら、3DGSです。


併用という選択——両方を使い分ける現場も増えている

「どちらか一方」で決め切る必要はありません。室内はMatterportで寸法込みに記録し、外観や屋外の見せ場だけドローン撮影で3DGS化する、といったハイブリッド運用も広がっています。竣工記録は実務データとしてMatterportに残し、営業・広告用の"映える"カットだけ3DGSで別途用意する、という役割分担です。

予算と体制が許すなら、この併用が最も柔軟な選択です。


まとめ——3行チェックリスト

  1. 公開して終わりか、実務データとして使い続けるか。 前者は3DGS、後者はMatterport
  2. 寸法・間取り図が必須か。 必須ならMatterport一択
  3. 予算と撮影体制はあるか。 機材投資が難しいなら3DGSから始められる

技術の詳しい仕組みと業界動向を知りたい方はMatterportの"次"が来ているをあわせてご覧ください。


よくある質問

Q. Matterportと3DGS、費用面ではどちらが安いですか?

A. 初期費用は3DGSの方が抑えやすい傾向にあります。専用カメラが不要で、スマホ撮影から始められるためです。ただし寸法計測や間取り図が必要な用途では、Matterport側の機能を自前で補う開発コストが発生する場合があります。

Q. 工務店が3DGSを使うメリットはありませんか?

A. あります。SNSや広告用の短期的な訴求素材としては3DGSが有利です。ただし竣工物件を長期の営業資料として使い続けたい場合は、寸法計測・間取り図が標準搭載のMatterportの方が実務に向いています。

Q. どちらを選ぶか迷ったら、まず何をすべきですか?

A. 「この3D空間を、誰が・いつまで・何のために使うか」を先に言語化することをおすすめします。公開したい期間、実務データとして使うかどうかが決まれば、本記事の判断基準表がそのまま使えます。

Q. デジタルツインとMatterport・3DGSはどう違いますか?

A. デジタルツインは「現実の空間をデータ化して活用する」という目的・概念であり、Matterportと3DGSはそれを実現するための具体的な手段(技術)です。どちらを選んでも広い意味でのデジタルツインは作れますが、寸法・図面など実務データとしての正確性を取るか、公開時の没入感を取るかで手段が分かれます。


3D空間活用の選定にお悩みの方へ

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