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BIM外注の費用相場

自社導入と外注、工務店にとって本当に「得」なのはどちらか
2026年6月12日 by
BIM外注の費用相場
株式会社Across360

「BIMは高い」——その認識、いつの時代のものですか

2029年春、BIMデータ審査が原則化される。この事実を前にして、小規模工務店が直面する問いはシンプルだ。

自社でBIMを導入するか、それとも外注するか。

「BIMソフトは年間100万円」「専用PCも30万円以上」「人材育成に半年」——こうした数字を聞けば、多くの工務店経営者は「うちには無理だ」と結論づけるだろう。

だが、その判断は本当に正しいのか。「自社導入のコスト」と「外注のコスト」を冷静に比較したことがあるだろうか。 実は、外注市場にもさまざまな選択肢が生まれており、「BIMは高い」という前提そのものが変わりつつある。

本記事では、確認申請に必要なBIM図面・モデル作成のコスト構造を丸裸にし、工務店にとって最も合理的な選択肢を考える。


自社導入のコスト——初期投資だけでは見えない「本当の総額」

まず、BIMを自社で導入するケースを見よう。

初期投資

項目 費用
BIMソフトウェア(Revit等) 年間 約48万円〜
BIM対応PC(高性能GPU搭載) 1台 30万円〜
トレーニング・教育 約10万円
初年度合計 約90万円〜(1台体制)

ただし、これは最小構成の話だ。設計者2名体制なら、PCとライセンスだけで年間170万円を超える。

隠れたコスト

金額だけでは見えないコストが2つある。

1. 習得に要する「時間」

BIMソフトの習得には3〜6ヶ月のトレーニング期間が必要とされる。この間、その設計者は従来のCAD業務と並行してBIMを学ぶことになる。小規模工務店で設計者が1〜2名しかいない場合、業務の生産性は確実に落ちる。

2. 二重業務の負担

BIMを導入しても、協力業者(大工、電気、設備)がBIMデータを使えない以上、従来のCAD図面も並行して作成する必要がある。BIM確認申請のためだけに、1棟あたりの図面作成工数が1.5〜2倍に膨らむ可能性がある。

1棟あたりのコスト換算

年間施工棟数で割ると、自社導入のコスト感が見えてくる。

年間棟数 初年度コスト(1台体制90万円として) 1棟あたり
10棟 90万円 9万円
30棟 90万円 3万円
50棟 90万円 1.8万円

数字だけ見れば、年間30棟以上なら「1棟3万円」と安く見える。だが、上記の習得時間と二重業務のコストは含まれていない。 設計者の人件費(年収400〜600万円)を考えれば、生産性低下の実質コストは無視できない。


外注の費用相場——選択肢は「高いBIM代行」だけではない

次に、外注の選択肢を整理しよう。

主な外注先と費用

外注先 費用相場 納期目安 含まれるもの
設計事務所(確認申請代行) 10万〜30万円 1〜2週間 図面作成 + 申請書類 + 申請手続き
CADオペレーター(図面作成のみ) 9万〜18万円 約1週間 CAD図面のみ。申請は自社で行う
BIM代行サービス 30万円〜 約2週間 BIMモデル + IFCデータ + 図面出力
海外外注(ベトナム等) 7万〜15万円 1〜2週間 図面作成。日本の法規対応にリスクあり

図面1枚あたりの単価

CADオペレーターへの外注では、図面の種類によって単価が異なる。

図面種類 1枚あたり(A3)
配置図 7,000〜12,000円
平面図 7,500〜15,000円
立面図 12,000〜15,000円
断面図 12,000〜15,000円
矩計図 15,000〜20,000円

木造2階建て住宅(30〜50坪)の確認申請には13〜15枚程度の図面が必要で、CADオペレーターに全枚数を依頼すると合計9万〜18万円が目安となる。

工務店のリアルな声

小規模工務店(年間10〜50棟)へのヒアリングからは、一貫したメッセージが聞こえてくる。

1棟5万円くらいなら外注したい。 でも30万円は無理。」
CAD図面を渡したら、BIMモデルを作ってくれるサービスがあれば助かる。」
「確認申請だけBIMで出せればいい。施工では使わない。」

需要はある。だが、既存のBIM代行サービス(30万円〜)は高すぎる。 ここに大きな市場のギャップが存在している。


自社導入 vs 外注——5年間のトータルコスト比較

3年後の義務化を見据えて、5年間のトータルコストを比較してみよう。年間30棟の工務店を想定する。

パターンA:自社導入

項目 初年度 2年目以降/年 5年間合計
ソフトウェア 48万円 48万円 240万円
PC 30万円 30万円
教育 10万円 10万円
保守・メンテ 20万円 80万円
合計 88万円 68万円 360万円

1棟あたり: 360万円 ÷ 150棟 = 約2.4万円

※人件費・生産性低下のコストは含まず

パターンB:全棟外注(BIM代行30万円/棟の場合)

項目 5年間合計
BIM代行 30万円 × 150棟 4,500万円

1棟あたり: 30万円——これでは論外だ。

パターンC:全棟外注(10万〜15万円/棟の場合)

項目 5年間合計
外注 12.5万円 × 150棟 1,875万円

1棟あたり: 12.5万円

比較まとめ

パターン 1棟あたりコスト 初期投資 社内リソース負荷
A. 自社導入 約2.4万円(人件費除く) 88万円
B. 高額外注 30万円 なし なし
C. 適正価格外注 約12.5万円 なし なし

年間30棟以上の規模があり、BIMを設計業務にも活かす意欲があるなら、自社導入は長期的に有利だ。だが、「確認申請のためだけにBIMが必要」という工務店にとっては、1棟10万〜15万円の外注が最もバランスの取れた選択肢になる。


外注先を選ぶときの5つのチェックポイント

BIM外注先は増えつつあるが、品質のばらつきが大きい。以下のポイントで選定してほしい。

1. LOD300に対応しているか

確認申請にはLOD300(実施設計レベル)が必要だ。LOD200(基本設計レベル)では、正確な寸法や属性情報が不足しており、審査を通過できない。「BIMモデルを作ります」と謳っていても、LODレベルを明示していないサービスには注意が必要だ。

2. IFC2x3で出力できるか

BIM図面審査では、IFC2x3(Coordination View 2.0)形式でのデータ提出が標準とされている。独自フォーマットでしか出力できないサービスでは、審査機関への提出に支障が出る。

3. 確認申請の実績があるか

BIMモデルを作ることと、確認申請を通すことは別のスキルだ。建築基準法への理解があり、審査機関とのやり取り経験がある外注先を選ぶべきである。

4. 図面とIFCの整合性を担保できるか

入出力基準では、PDF図面とIFCモデルの整合性(寸法・面積・高さの一致)が求められる。図面だけ作って終わり、ではなく、IFCデータとの整合性チェックまで行ってくれるかを確認しよう。

5. 入出力基準適合申告書を作成してくれるか

BIM図面審査では、入出力基準適合申告書の提出が必須だ。使用したBIMソフトウェア、IFCバージョン、出力図面の種類、整合性チェックリストを記載する書類である。ここまでカバーしてくれるサービスは、まだ多くない。


まとめ——「コスト」で考えるBIM確認申請対応

選択肢 1棟あたりコスト こんな工務店向き
自社導入 約2.4万円〜(人件費除く) 年間30棟以上で、設計業務にもBIMを活用したい
設計事務所に代行 10万〜30万円 申請手続きまで丸投げしたい
BIM Express等の外注 10万〜15万円 確認申請用BIMモデルだけ欲しい。コストを抑えたい

2029年のBIMデータ審査原則化まで、あと3年。「義務化されたらどうしよう」と不安を抱えたまま3年を過ごすか、今のうちに1件試して見通しを立てるか。

答えは、もう出ているのではないだろうか。


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